映画感想 マーティン・スコセッシ監督 『シャッターアイランド』
「ミスティック・リバー」のデニス・ルヘイン原作の同名小説をマーティン・スコセッシ監督&レオナルド・ディカプリオ主演で映画化。1954年、失踪した女性患者の謎を探るためにボストン沖の孤島に建つ犯罪者用精神病院を訪れた米連邦保安官テディ・ダニエルズ(ディカプリオ)に次々と不可解な出来事が起こる。脚色は「アレキサンダー」「ナイト・ウォッチ/NOCHINOI DOZOR」のレータ・カログリディス。
どんでん返し系?の映画ではたびたび話題にあがる今作品。
どんでん返しを前面に出す映画って予告編の映像がめちゃくちゃ凝っていて、どきどきして本品を観たら肩透かしをくらう印象がある。
予告編のムービーを作ったのは誰なのだ!?と思うほど、予告編はよくできているパターン。
そういった意味で、今作品もなんぼのもんじゃいという精神で鑑賞した。(何様)
しかし、マーティン・スコセッシ監督は裏切らなかった。
見せ方や物語の進むテンポに引き込まれ、世界観に引き込まれる。
タクシードライバーでは日常の中の異常を感じて不気味だったが、本作品は異常を真ん中に持ってきた感じ。
犯罪者用の精神病院を舞台に、物語は進む。
意味ありげで不気味なカットが観客を不安な気持ちにさせ、え、ナニコレ?どういうことなの?とくぎ付けにさせる。
本作品に対する考察はいろいろなところでされている。
伏線回収とか、もろもろ。
私がざっくり感じたのは、自分が絶対正しいと思うなよ?というメッセージ。
もちろん、自分がどのように感じるか、何を信じて何を信じないか、といった軸をもつことは重要だと思う。
しかし、それが万人に当てはまる、絶対的な真理だとは思わないでほしい。
人の人生は十人十色。
自分が生きてきた人生とは違う人生を歩んできた人と、同じ意見になることはあり得ないのだ。
お互いの人生を尊重しあい、なるべく理解しあうことが重要だ。
そして、理解が及ばないときは距離をとって生活していければよい。
絶対的に正しいことはないと、そう肝に銘じたいものだ。