映画感想 テリー・ギリアム監督『ラスベガスをやっつけろ』
アメリカのジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンが1971年に発表した同名小説を、「未来世紀ブラジル」の鬼才テリー・ギリアムが映像化した異色ロードムービー。71年、ジャーナリストのラウル・デュークと弁護士ドクター・ゴンゾーはバギーレースを取材するため、真っ赤なスポーツカーに大量のドラッグを詰めこんでラスベガスへと向かう。しかし、ドラッグまみれの2人は行く先々で騒動を巻き起こし……。
これは…。
薬物の怖さを伝える啓蒙動画だろうか。
啓蒙動画なのであれば、ある程度の効果はありそうだ。
ストーリーは特になく、ラウル・デュークとドクター・ゴンゾーがドラッグでトリップしている映像と現実の映像が入り混じった世界観がひたすら映し出される。
ドラッグをやるとこんな世界になってしまうのかは、ドラッグを利用したことがないのでわからないがこの映画の中では決して魅力的な世界観ではなく、退廃的で混とんとしているし何より狂っている。
ドラッグをやるとこんな風になるのであれば、絶対にしたくないと思う映像をひたすら見せられる。ストーリーはないので、何か謎がとけるであるとかメッセージ性のあるものを感じることはできない。
ドラッグでトリップしている映像を見て、観客が主体的に感じることを求めているのだろうか。
役者の面々は豪華。
幼いころのトビー・マグワイアが登場していて、おお!っと思ったのがこの作品を観ていて私が一番心躍った瞬間だった。ジョニー・デップが主演だが、彼も決してかっこよくない。かっこよくない演技ができるのも彼の実力のひとつであろう。
映画そのもの自体には私には理解が追い付かず、あまり楽しめなかった。
私は12モンキーズも苦手なたちなのだが、テリー・ギリアム監督は12モンキーズの監督でもあった。妙に納得してしまった。
彼の作品の良さを語れる人がいれば、ぜひ教えていただきたい。