映画感想 バラン・ボー・オダー監督『ピエロがお前を嘲笑う』
世間を震え上がらせたハッキング事件を起こし、さらに殺人容疑で追われる天才ハッカーのベンヤミン(トム・シリング)が警察に出頭してくる。ハッカー集団「CLAY」に加担して盗んだ情報によって殺人事件を引き起こしてしまい、今度は自分が狙われていると告白。その自白を基にベンヤミンの身辺調査に着手した捜査員は、不可解な事実を次々に見つけだす。
ピエロとハッカーという組み合わせが絶妙にマッチするのはなぜだろう。
不気味な姿なのに、ハッキング技術を駆使してシステムを攻略していく姿には圧倒的な強さを感じさせる。
物語はベンヤミンが拘置所で事件について語りながら、過去の場面をなぞるように進む。
重厚な作品というよりは、中学生高校生の時に見たら確実にはまっていただろうなと思うような雰囲気。主人公がさえない男だったのだが、マックスとの出会いを境にそのハッキング技術を活用して、大掛かりなハッキングを披露して世間に注目されるCLAYというグループの一員となる。
ここまではなんというか、よくあるストーリーでそこまでの面白みはない。
さえない男が、ちょっといい思いをしてクラブでハイになって意中の女の子に近づこうとしたりといった場面が続く。
言葉にすると難しいのだが、型にはめようとして作った感が否めない全体の雰囲気があったのとヒロインの女の子のよさが全くわからなかったので、周りの人にお勧めしたいとまでは思えなかった。
しかし、100%見破れない!騙された!とポスターにあるように、私も最後の最後には騙されてしまった。二転三転するストーリーは、詳細は置いておいて面白みはあるだろう。
ハッカー・ピエロ・100%見破れない!騙された!といったキーワードに心躍る人は、どはまりする作品かもしれない。そのような人たちには一度見ていただいて、きれいにだまされるとエンタメ作品として楽しめるかもしれない。