映画感想 スパイク・ジョーンズ監督『her 世界でひとつの彼女』
近未来のロサンゼルスで、セオドア(ホアキン・フェニックス)は相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……。
この映画は映像がめちゃくちゃ美しい。
作品内のインテリアも素敵だし、映像がきれいだし、音楽も心地よい。
そういった世界観に浸りたいときにはぴったりの映画だと思う。
AIが発達した世界の映画はたくさんあるが、この作品はその中でも珍しい作品なのではないだろうか。この作品ではAIは明確な敵でも味方でもない。
ある人にとっては恋人のような関係になったり、親友の関係になったりする。
そんな関係性の行く末にあるものがどんなものなのかが、この作品では描かれている。。
この映画のメッセージとしては色々な要素があると思うのだが、テクノロジーの発展による人間関係の希薄化が一番の印象だった。耳にイヤホンを入れて、OSと話しをして街を歩く人々のシーンが印象的だった。人であふれているのに、誰も人間同士で会話をしていない。
実際の世界でもワイヤレスイヤホンで話しながら街を歩く人は多い、今のところ話をしている相手はOSではなくて人という違いはあるが流暢に話ができて友人のように話ができるAIが発明されたとしたら、それを趣味として生きていく人は多くいるようにも感じる。
それが良いことなのか悪いことなのかは正直わからない。孤独に悩んでいる人にとっては、それをいやしてくれる画期的なツールとなるかもしれないが実際の人間との関係性はより希薄化していってしまう懸念がある。
この映画では、主人公がAIや周囲の人とどのような関係を築き上げて、どんなことに悩み、どのような結末を迎えるのか。そんなところに注目すると楽しめるかもしれない。
ちなみにAIのサマンサは声だけでもとても素敵で、私も恋をしてしまった。
こんなAIができてしまったらはまってしまう自信が私にはある。