読書感想 村上龍『2days 4girls』
心が壊れて捨てられた女たちを預かり、「オーバーホール」することがわたしの仕事だ。そして今、一人の女を捜して、広大な庭園をさまよっている。「明日からここに住みます」というメモを残してその人は姿を消した。彼女を譲り受けた頃、わたしには他に三人の女がいた…。官能を仲立ちに、人間はどこまで深くお互いに関与できるのか。男と女の関係性を問いかける、救済という幻影の物語。
図書館で借りて読んでみた。
村上龍さんの作品。
自分が村上龍さんの作品に惹かれる理由をふと考えてみたけど、実際よくわからない。
この作品においても物語自体は現実感がなく、めちゃくちゃな世界観が広がる。
壮大な迷路をひたすら歩く歩いている男が、今までにかかわってきた特殊な女性たちとのできごとについてつらつらと語るような内容。最後の終わり方に関しても、結局どういうことだったの?というところに関しての明確な結末や説明はないように感じた。
しかし、描写は力強く写実的で描かれている世界のシーンがありありと目の前に浮かぶ。
語られている内容そのものに関しては現実感がないのだが、どこかでそのような人もいるんじゃないかと思わせるような説得力がある。人々の欲望は巧妙に隠されているけど本質を暴けばこんな世界観もあり得るのではないか?そもそも、自分が生きてきた世界はあまりにも限定的だ。自身の経験則からこんな世界なんてありえないと思っているだけで、この本に描かれているような世界もあるのでは?
そんなことを思わせられる。
人の人生に関与するということ。
人に自分の人生を関与されるということ。
影響の大小は違えど、生きていればその両方を経験することがあるだろう。
その結果、関与された人がどのような人生を歩むことになるのか、関与した自分はどのような人生を歩むことになるのか。
想像力を豊かにして考えていきたいことだ。