映画感想 カーティス・ハンソン監督『8 Mile』
1995年、デトロイト。中産階級の白人が多く住む郊外とは“8マイルロード”で分断され、貧困層が多数を占める都市中心部。ジミーはここで無職の母と幼い妹の3人でトレイラー・ハウスに暮らしていた。彼は昼間プレス工場で働き、夜はヒップホップ・クラブ“シェルター”で毎週行われるラップ・バトルでの優勝を目指し、プロで成功することを夢見ていた。だが、彼は才能がありながらその実力を発揮出来ないでいる。加えて母ステファニーとの確執に悩んでいたジミーはある日、モデルを夢見るウェイトレスのアレックスと出会い恋に落ちるのだが…。
今までチャラついているものというイメージがあり、なんとなくラップを聴くことを避けていた。
そんなイメージを変えてくれるきっかけの一つとなったのはこの映画だ。
とはいっても、この映画の面白さはラップそのものだけではなくストーリーもしっかりしているところにあると思う。
ぴかいちのラップのスキルをもつラビット(エミネム)が、様々な問題や葛藤を抱えながら人生を切り開いていくサクセスストーリーだ。
ラビットのスキルを信じて応援してくれる友人たちとの友情は素晴らしいものだが、夢をつかむためにはずっとその環境で甘えているわけにはいかない。
一方でビジネスでうまい話をもってくるやつの甘い誘いに乗ることもできない。
そんな様々な葛藤を抱えながら、ラビットは舞台に上がり、フリースタイルのラップバトルに参加する。
経済的貧困や職場環境、家庭環境、それぞれの描写もしっかりとされておりその一つ一つがラビットの血となり肉となっている。決して通り一辺倒ではない人生を生きながら、ラップバトルに臨む。ラップバトル後のラビットの行動も好きなシーンだな、真剣に人生を歩みだしている感じがする。
あと、ラビットとリリーの関係性がとても素敵。
子供だけは絶対に大切にする人になりたい。