映画ネタバレ感想 原恵一監督『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』
春日部に誕生した“20世紀博”。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界にひたれるテーマ・パークだった。大人たちは子供そっちのけで“20世紀博”に熱中していくのだったが……。
この映画を観るのは何回目だろう。
東京タワーを一家団結して登っていく様は笑いあり、涙ありだ。
27歳になって改めて観ると、それはそれで思うところがある。
公開当時は子供だった自分。
育ててもらった両親への思いもこみ上げるし、これから親として立ち振る舞う自分のことも想像してしまう。
この映画の中に名シーンと言われるところはたくさんあるだろうが、私のお気に入りはひろしの幼少期から父親になるまでの回想シーンだ。
父親の自転車に乗って虫取りに出かけるシーンから、大人になって働き始め、仕事で起こられて、愛する人を見つけて、子供を授かって。
何気ない日常の幸せや苦労が凝縮したシーンだ。
そのシーンは誰もが経験するようなありふれたもので、かけがえのないものなのではないかと思う。
そんな今まで築き上げた人生の回想シーンと、童心に帰って子供を放置して楽しんでいる状況。
ひろしは涙を流しながら洗脳から解放され、現実にもどってくる。
責任を投げ出して無邪気に楽しみ、夢をもって生きることは楽しいことに違いないが、それだけで成り立つ人生ではないのだ。
責任をもって成し遂げることに意味があるのだろう。
それっぽい感想や論考を並べ立てるつもりはない。
この映画を観て、二回も涙を流せたのだから大満足である。
クレヨンしんちゃんありがとう。