映画ネタバレ感想 メイコン・ブレア監督『この世に私の居場所なんてない』
人の冷たさに心が折れそう。その上、空き巣に入られてもう限界…。変わり者の隣人と始めた犯人捜しは、非日常の扉を開ける。
I Don't Feel at Home in This World Anymore | Netflix Official Site
ジャンルとしてはブラックコメディ。
冒頭から、主人公のルースは、職場でもプライベートでも報われない日々を過ごしている様子が映される。
その報われない具合が、大げさなものでない分リアルだ。
例えば、バーで一人で本を読んでいたら、その本を知っていると声をかけてくる男。いい感じの関係になるのかと思えば、その男は本のネタバレだけを話して席に戻っていく。
そんなことがどんどん積み重なって、ついには空き巣に入られてしまう。
警察はルースの不用心さを責めるばかり。
警察の捜査体制も信頼できるものではなく、歯がゆい思いをしていたルースは隣人のトニーと協力をして犯人探しに繰り出す。
そこで目の当たりにする現実は、ドラマチックなものではなく、シンプルにいやなやつらがいる。
主人公のルースは等身大の女性で、劇的な展開はないのが逆に映画としては新鮮。
あっけなく、事故的に人は死んでしまう。
人が銃で撃たれるシーンを見てルースは盛大に嘔吐する。
映画だと何かしらドラマを映し出すけど、そんなドラマ的な物事ばかりじゃないよね。
そう思わせてくれる作品だった。
まあ、この映画のようなことも日常あるかと言われるとないんだけどね。
というかもはや現実になってほしくはない。