Koshi’s diary

本・映画・ドラマについて感想を書きます。たまに雑記。

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映画感想 チャーリー・カウフマン監督 『もう終わりにしよう』

 ある年の冬、ジェイクは恋人を両親に紹介することにし、彼女を連れて車で実家へと向かっていた。恋人は何かを終わらせたがっていたが、その思いを伝えられずにいた。実家に到着した恋人はジェイクの両親から歓迎されたが、異様なほどのテンションの高さ(特に母親の)に困惑を隠せなかった。その後も恋人は次々と不気味なもの―体を震わせ続ける犬や幼少期の自分と瓜二つな子供の写真―を目撃し、精神的に疲れ果ててしまった。

帰宅の途についた2人だったが、ジェイクが「甘い物を食べたい」と言い出したため、近くのデイリークイーンに立ち寄ることにした。それから続く一連の出来事の中で、恋人は言葉にできないほどの恐怖を味わうことになった上、徐々に現実と非現実の区別が付かなくなっていく。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%81%86%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%81%97%E3%82%88%E3%81%86%E3%80%82

 

ネットフリックスオリジナル映画が、このクオリティの映画を作れるようになったのかと驚嘆した。

月額880円(税込み)でこのクオリティの作品が楽しめるとなると、最高すぎる。

プロジェクターで天井に投影してベッドの上で鑑賞。

映画館で観る映画が好きな人にはプロジェクター購入して、ネトフリ作品を鑑賞をお勧めしたい。

音響と大画面の迫力は映画には欠かせない。

 

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さて、本筋から外れたところから始まるのがこのブログの真骨頂。

気楽に読んでね。

 

というのも、この作品『もう終わりにしよう』(I’m Thinking of Ending Things)、めちゃくちゃ重い。

心をえぐってくる。

描写も不気味だし、映像のワンカットワンカットも不気味。

さらに、その不気味さがリアル。

作中、ジェイクの部屋の棚とかが映されるんだけど、田舎の一人息子が育つ部屋ってこうだよね。みたいな姿をありありと見せつけられるような感じ。

それは正常なんだけど、奇妙なものとして映されていて、それこそ正常の中に異常はある、みたいな。(語彙力不足でこれ以上は断念)

 

本作品、私は前提知識なしで鑑賞した。

前提知識なしで見ると、おそらくほとんどの人が混乱する。

現実感は皆無なので、これは何の世界を描いているんだ?というクエスチョンマークは常に頭にうかぶ。

それでもこの作品に引き込まれるのは、巧みな(不気味な)映像・数々の強烈なセリフ・痛烈な風刺(現代社会に対する批判?)が相まって、作られているからだろう。

 

映像については冒頭に触れたので、まずはセリフについて。

冒頭20分は、車の中ではジェイクとルーシーが実家へ向かう車の中での会話だけでほぼ描かれている。

ここからもこの映画の特殊性が想像できるだろうか。

会話の内容は文学的。この描写は好きな人は好きだけど、退屈に感じる人もいるかもしれない。

私は好きです。

 

痛烈な風刺(現代社会に対する批判)について。

風刺の要素は、いくつかあるように思うし、それらが重なっている部分もある。

いじめ、ジェンダー、メディア、孤独。

 

自分が感じた中で、特に刺さったのは以下の二つかな。

・幸せの偶像化(田舎の美化)

・外見上の差別(ルッキズム

セリフとして、以下のようなセリフもある。

「みんな、テレビに映っているものは醜いより、美しい方が良いと考える」

他にも随所随所に、風刺がきいたシーンがあるので、メッセージとしてはわかりやすかったように思う。

 

とはいえ、どういう設定なのかは鑑賞後もはてなだったので、チャーリーカウフマンの解説を読んでみた。(ネタバレになるので注意。英語苦手な方はGoogle翻訳を)

Charlie Kaufman Explains I’m Thinking of Ending Things | IndieWire

これを読むと、そういうことだったのかと思える。二度おいしい。

ただ、監督も解釈は観た人に任せると言っているので、解説を読むのは鑑賞後のほうがよいかもしれない。

“I let people have their experiences, so I don’t really have expectations about what people are going to think. I really do support anybody’s interpretation.”

 

感じること、考えることがたくさんあった名作。

普段メディアにとりあげられない部分を描いて、こっちも現実だろ?と訴えかけてくるようで、正直つらい。

でも、向き合う必要がある現実に違いない。

きれいなところばかりを見て、現実に向かいあわないのはもう終わりにしよう。

そういう前向きなとらえ方もできるはずだ。

 

 

とりとめもなく書いてしまったが確実に名作。お勧めの作品だ。

以上でこの記事も、もう終わりにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログは続けるよ!笑