映画感想 マーティン・ブレスト監督『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』
気難しく人間嫌いな全盲の退役軍人と、心優しいエリート寄宿学校の苦学生との年齢差を越えた友情を描き出した感動作。A・パチーノの熱演(七度目のノミネートにして遂にアカデミー主演賞受賞)やC・オドネルのさわやかな演技は言うに及ばないが、男同士の奇妙な友情を軽快に見せてくれたM・ブレスト監督が、今度は打って変わってじっくりと人間愛を描き、監督の奥の深さを認識できる点も記憶しておきたい。G・アンウォーとタンゴを踊るシーンは絶品!
アルパチーノがめちゃくちゃかっこいい。
変に文章をつづるよりも、この一言で全ての感想としてしまったほうがよいかもしれない。
それくらいアルパチーノのかっこよさがしみいる作品だ。
物語としては、気難しい全盲の退役軍人であるフランク(アル・パチーノ)とその世話係として感謝祭の時期にアルバイトとしてかかわることになったチャーリー(クリス・オドネル)の交流を描いている。
チャーリーは家が裕福ではないが、優しい青年でまさに優等生といったキャラクター。一方でフランクは厭世的な態度ではあるものの、ユーモアにあふれ人としてのやさしさは感じるおじさんである。(おじさんという表現が的確ではない気がしてならないのだが、それ以外の表現がわからなかったのでおじさんとしている)
フランクに振り回されるように生活をしていたチャーリーだが、徐々にフランクの魅力を感じるようになり二人の距離が縮まっていく。
そんな生活の中で、フランクが自殺をしようとしていることにチャーリーが気づく。普段の生活でそんな雰囲気はおくびにもださない。チャーリーは自殺をしようとする寸前で阻止する。まさに自殺をしようとしていたフランクをチャーリーが止めるシーンは見どころの一つだろう。フランクが自殺する理由は明確には描かれていないが、全盲の退役軍人ということや家族との関係などが理由なのであろうということがなんとなく推察される。
チャーリーはすごくいいやつなんだけど、あまり個性が強いキャラクターというわけではなく私としては少し物足りなかった。一方でアルパチーノ演じるフランクは最後の演説のシーンはもちろんのこと、タンゴを踊るシーンやフェラーリを運転する姿など随所にかっこよさを感じた。
最後の演説のシーンを見て、魂ってとてもかっこいい言葉だなと思った。