映画感想 ジョージ・クルーニー監督『ミッドナイト・スカイ』
孤独な科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー) は、地球滅亡の日がすぐそこまで迫っているというのに、北極から動こうとしなかった。一方、宇宙船の乗組員サリー(フェリシティ・ジョーンズ)は、任務終了にともなって地球に帰還しようとしていた。そんな中、オーガスティンはサリーたちを乗せた宇宙船が地球に戻るのを、どうにかして阻止しようとする。
終わり方を書いた作品。
一番印象に残っているのは、オーガスティン(ジョージ・クルーニー)とアイリス(カオリン・スプリンガル)が食事中に豆で遊ぶシーン。
カオリン・スプリンガルの存在感が際立っていた映画だった。
孤独なおじさんと無垢な少女という組み合わせはどうしてこうもマッチするのか。
何かを諦めたような哀愁を持ったおじさんが純粋無垢な少女と出会い、その少女を守ろうとする姿はかっこいい。
そのかっこよさには自分自身に関係がない未来に対して全力を尽くす姿、その献身的な姿が背景にあるように思う。
全力で生きてきたが何もなしえなかったという虚無感を抱える男が、最後の最後に見出す希望がその少女となるのだ。
宇宙と地球の二つの場所で並行的に物語が進む。
突然目の前に現れたアイリスという少女が何者なのか、地球に戻ってしまったら生きていけないということを知らずに地球へ帰還しようとしている宇宙船のメンバーにそのことをうまく伝えられるのか。
それらが物語の軸になる。
地球がなぜそのような世界になってしまったのかは描かれておらず、現実感という意味では弱いが一方で幻影的に描いた作品と思う。
(放射能が周りにあることが原因ではあるようだが、放射能がなぜ周りにあふれているかは説明がない。)
死ぬことが確実になった時にどのように生きるかを考えることはとても大事なことかもしれない。