映画ネタバレ感想 デビッド・ロウリー監督『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』
若夫婦のC(ケイシー・アフレック)とM(ルーニー・マーラ)は田舎町の小さな家で幸せに暮らしていたが、ある日Cが交通事故で急死してしまう。病院で夫の遺体を確認したMは遺体にシーツをかぶせてその場を後にするが、死んだはずのCはシーツをかぶった状態で起き上がり、Mと暮らしていたわが家へ向かう。幽霊になったCは、自分の存在に気付かず悲しみに暮れるMを見守り続ける。
癖がすごい。
今更ながら千鳥にはまっている著者です。
冒頭から関係ないことを言ってすべりちらかしています。
さて、今回鑑賞したのは『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』。
あらすじを見ただけでなんとなく興味をそそられる。
生きていた時は気づけなかったことに死後やわかる。それは一体何が分かるというのだろう。
わくわくして鑑賞する。作品の雰囲気は好きだった。
カメラの取り方も、カット割りを巧みに使って場面を転換させるというよりは定位置で流すようなシーンが多かったのも印象的。
そうすることによって、ゴーストとなった男の視点というのが鑑賞者にもなんとなく乗り移ってくる感覚だ。
男の死後、彼女のルーニー・マーラがひたすらパイを食べ続けて吐くまでの描写はノーカットだろうか。本当にひたすらパイを食べ続ける映像が定点の映像で流れ続け、なんだかいたたまれない。
それからゴーストは、彼女以外の人々の人生も時間を飛び越えて見守ることになる。
自分たちが住んでいた家が建つ前の野原の状態の時に家を建てようとした家族、家が壊される瞬間、パーティーで死生観について語る人々、超高層ビルになった時代。
死生観の語りの描写は好きだった。
ああいう話を飲み会でできると楽しい。
ゴーストは、彼女が家に残していたメモを読んで消える。
そのメモの中身に何が書いてあったかはわからない。
こうやって感想を書いていると、あらゆる死生観やひいては自分と彼女の生活を見て、混乱しているゴーストがそのメモを通じて、ようやく自分の死を受け入れられたということなのだろうかと思う。
癖がすごいし、人を選ぶ映画だとは思うが、興味がある方はぜひ見ていただきたい。
人によってまた違う解釈が生まれるかもしれない。