映画ネタバレ感想 ウルリケ・コフラー監督『人生はあるがままに』
不妊治療が難航する中、休暇でサルディニア島を訪れた夫婦。隣室の家族連れと知り合いになり、ともに時間を過ごすうち、夫婦の心は少しずつすれ違っていき…。
オーストリアの映画。
不妊治療に臨んだが、それがうまくいかず子宝に恵まれない夫婦を描いた作品。
4回の治療を重ねてもうまくいかず、補助金も使えなくなったタイミングで二人は休暇もかねて旅行に行く。
そこで隣の部屋に来たのは4人家族の一家。
庭がついた部屋になっていて、柵などの仕切りがなく隣の一家の会話が聞こえてくる。
そうすると否が応でも隣の家族の子供のことが気になってしまい、うまく気持ちが切り替えられない。
なぜ自分たちには子供ができて、隣の家族には子供がいるんだろう…。
そんなことを考えてしまう。
二人は都心に住む夫婦で、隣の一家は田舎からきている家族で、二人はなまりをばかにしたように少し見下したような会話をしている。
そんな風にして相手を見下すことで、心の平静を保っているようにも見える。
そんな状況の中で過ごしていくうちに、二人の間にもすれ違いが生まれてしまう。
距離を置こうとする夫と、距離を縮めたい妻。
不妊治療に臨むうちにセックスレスになり、愛し合うことができない状況。
最終的にこの問題が解決しないままこの映画は終わる。
何気ない会話が、人を傷つけることがある。
人の状況は千差万別で、何が幸せで何が幸せでないかなんてその人によって違うので、踏み込んでいい領域と踏み込んではいけない領域がある。
その一言で、相手の心を殺してしまうことだってあるのだ。
結構好きな作品でした。