映画感想 ジョン・ランディス監督『ブルース・ブラザース』
黒い帽子に黒のサングラス、黒いネクタイに黒のスーツという、全身黒づくめのジェイク・ブルースとエルウッド・ブルースは、ちぎりを交わした兄弟分。そのブルース兄弟が昔世話になった孤児院が、窮地に陥った! 彼らは孤児院を救おうと、かつての仲間を集めて“ブルース・ブラザース・バンド”を再結成し、そのコンサートの利益を孤児院に寄付しようとするが……。
1980年に制作された作品。
こんなにかっこいいバディ映画は初めてだった。
刑務所から出所したばかりのジェイクとその弟エルウッド。
彼らがブルースブラザーズだ。
彼らはどんなことになっても動じることがない。
最初はその動じなさすぎが笑えてしまう。
住んでいたホテルが爆破されて、しかもそのがれきの中に埋もれているのにも関わらず、そのことにはいっさいふれず仕事の時間だといって動き始める。
え、どういうこと?笑、といった形で笑いを誘われる。
しかし、最後にはぶれない彼らに夢中になっているはずだ。
彼らは自分たちが育てられた孤児院の納税額5000ドルを稼ぐために、バンドをしようとする。そしてそのことが、神から与えられたミッションだと考え疑わない。
神のミッションなのだからといって、かつての仲間たちを半ば強引に連れて行く。
音楽が流れるシーンは、聴衆が最高に幸せそうなのも印象的だ。
幸せってこういうことだったのでは?と感じてしまうほど。
新しいアーティスト、新しい音楽、それらのプロモーション、世界へ向けての発信、それらが悪いことだと思わないし、むしろ必要なことだと思うけどそちらにばかり偏ってしまうのもいかがなものなのだろうか。
名曲はすでにたくさんあるのだから、そのパフォーマンスを磨き上げてみんなで気軽に楽しめる場が身近にあるともっと幸せに生きれるのでは?とも思った。
爆破されても動じないほどぶっとんでいるブルースブラザーズもライブではプロフェッショナルだ。
自分たちも楽しみながら、聴衆に語り掛けながらパフォーマンスをする。
道中にはいろいろあり、警察やらナチスを標榜する政党やら多くの人たちに追われる。
ブルースブラザーズは彼らから逃げるわけだが、そのカーチェイスも必見。映像は昔のものなので、今作られているようなカーチェイスではない。
しかし、異様な数の膨大なパトカーや警察の数に追われながらも自分たちのペースで逃げるブルースブラザーズの画には芸術性さえ感じる。
これは、警察に対する皮肉かな?
また、ラブロマンスの要素を感じさせておきながら、それらを完全に無視しているのもブルースブラザーズの魅力を存分に引き上げている。
お決まりのスタイルにははまらない。
幸せってなんだっけと感じている人。
社会がこっちだ!といっていることに疑問を感じる人。
かっこいい人間ってどんな人だっけかと迷子になっている人。
一度、今作を観てほしい。
格式を高くしたいわけでは決してないが、この作品は芸術的な作品だと私は思う。
こういう作品を観たかった!そう思える作品だ。
最後にバディ映画のよさってどんなところにあるのかを書こうと思ったんだけど、長くなってしまうのでやめる。
またどこかで書けたら書いてみる。